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普通のいい物


by debogon720

ニットの話 (1)

毛を刈れないカシミア                
カシミアをヒツジの一種だと思っている人も多いんですが、カシミアはヒツジではなくカシミアゴートという山羊です。現在のカシミアの主な産地は、中国、モンゴル、イラン、アフガニスタンといった国々です。それらの国の中でも冬は零下40度以下の極寒、夏は40度を越す猛暑という厳しい気候条件の中に住んでいるんです。昔、ヨーロッパ人がこのカシミア山羊を大量に飼育しようとしてヨーロッパにつれて帰って育てたとこがあるそうです。しかし、この原産地よりずっと気候穏やかなヨーロッパでは細かくて柔らかい毛が殆ど生えてこなかったそうです。あの軽くて柔らかいカシミアの産毛は厳しい気候からカシミアの身を守る為に神様がカシミア達にくれた特別な贈り物だったんですね。  丸々としたヒツジを熟練の職人さんが電気バリカンで刈ると、瞬く間に丸裸にされ、可愛そうなくらい貧相なヒツジが現れる収獲シーンをテレビなどで見ることが有りますね。 でもカシミアの収穫はこういう具合に簡単ではないんです。 カシミア山羊の毛は二種類に分かれています。 ひとつはヘアーとよばれて、表面を被っている長くてゴワゴワしている剛毛。 もうひとつがウールと呼ばれゴワゴワのヘアーの内側にある産毛です。 水鳥の羽毛みたいなものです。 この産毛が大変細かく弾力性がありセーターや服地に使うカシミアの原毛なんです。 その産毛が暑い夏を迎える前に生え変わるんです。  硬く長い毛の間に生えている産毛ですので、熊手みたいな櫛ですき取るしかなくかなりの手間と時間がかかります。
その産毛を集めて砂やゴミや硬いヘアーなどを取り除くと一頭から採れる量はわずか170グラム前後。 最終的にはセーター一枚作るのに四頭分の産毛が必要だといわれています。
その毛を長さや太さなどを考慮して等級に分けられます。 一口にカシミアと言っても毛ードによってピンからキリまであるんです。 もちろん値段もかなりの差があります。 最高の等級を買うのはやはり日本とヨーロッパ。 ウト(DEBOO)のカシミアがその中に入っているのはいうまでもありません。  その他に毛の地色でも違います。 グレイ、ブラウン、などいろんな色があり、生成りのまま使うこともありますが、明度の低い色はブラウンやグレイのけから染めます。
しかし、白やサックス、ピンクなどの薄い色に使えるのはホワイトカシミアです。
羊毛のように色を簡単に抜ければいいんですが、カシミアの毛は繊細すぎて色を抜いた上に染色をすると傷んで柔らかさに影響するので、パステルのような薄い色はホワイトカシしか使えないんです。そのホワイトカシミアが採れるのが全体の20%ぐらい。ウト(DEBOO)はクリアーな色が多いのでホワイトカシミアを使うケースが多くかなり厳しくなります。
育てるのもワイルド、収穫もワイルド。 養殖のヒツジに比べてカシミアは天然物といったところです。
UTOニットだよりfrom南青山
ニットの話 (1)_d0060944_2145347.jpg

by debogon720 | 2006-07-25 13:32 | セーターのオーダー